Web バリトン 堀内康雄

音源よもやまばなし PDF原稿

2013年10月25日 08:14

音楽三田会会報 第36号<2013年8月10日>に、拙稿が掲載されましたが、原稿と微妙に違って(固有名詞・誤字)おりましたので、本欄にPDF原稿を載せる事に致しました

会報編集の方々には、無断で失礼致します

 

音源よもやまばなし.pdf (215633)





音源よもやまばなし
堀内康雄(バリトン歌手)
☜子供の頃から、音楽を聴くのがめっぽう好きだった。下校すればレコードの針を落とし、就寝時
にはヘッドホン装着が当たり前の毎日だった。鑑賞から一歩踏み出して、フルートを習っていた小
出信也先生宅にお邪魔するようになってから、音楽家への憧れが増幅したように思う。インテリアの
隅々まで、こだわり抜かれた先生の感性に触れるのは、毎度刺激的だった。あるレッスンの日、
オーディオの脇に置かれたLPジャケットの美しさに見とれたが、何のタイトルかまでは分からな
かった。その後、30年振りに先生と再会し盃を酌み交わした折り、ご自身の数あるLPの中で「これ
だけはCDに復刻出来て良かった」と述懐されたが、そのLPジョリヴェ『フルート協奏曲第2番』こ
そ、気になっていたジャケットのタイトルであった。LPを購入するのに、ジャケットデザインも重要な
ポイントになったのも、このカバー画がきっかけだったと思う。ヨッフム指揮『田園』、プレヴィン指揮
『トゥーランガリラ交響曲』、マルケヴィッチ指揮『兵士の物語』などお気に入りのジャケットを眺めな
がらの鑑賞は、至福の時間だった。ほどなくしてオペラのLP も聴き始めた。なかでもカラヤン指揮
『ばらの騎士』『サロメ』、ベーム指揮『ナクソス島のアリアドネ』の写真資料や装丁の素晴らしさは
CDの比ではなく、針を落とすことはないが、今だに棚の奥にしまってある。畑中良輔先生も、CD
化されたLPは処分するという方針で、書斎の省スペース化をされていたが、要らないLPの中から、
マッケラス指揮のヤナーチェクのオペラ一式を持ち出そうとした弟子をいきなり怒鳴りつけた。「そ
れはダメ!!その装丁はもう出ないんだから!」その御声には悲壮感さえ漂っていたのを思い出
す。LP装丁の美しさといえば、以前ライマンの『リア』が気になっていたが、ようやく札幌の中古店で
見つけたものの、あまりの高額売価に断念してしまった。
☝PCでCDをコピー出来ると知ってから、鑑賞スタイルから鑑賞意識まで全く変わってしまった。こ
の5年間、気になっていたCD約300枚をコピーし、それをiPodに落として、四六時中イヤホンを
付けっぱなしで聴いている。自宅オーディオで、盤面が擦り切れるまで精聴するスタイルは過去の
ものとなり、膨大なデータを瞬時に取り出せるiPodが主流になり、乱聴スタイルになった。
またiTunesからダウンロードする事に慣れると、ジャケットデザインや装丁にこだわる意識も希薄に
なっていった。精聴のままだったら、一生たどり着けなかった膨大な音源に出会うキッカケにもなり、
テクノロジーの進歩のお陰と感謝している。
☞「レコ芸」や「音友ムック」「バンドジャーナル」といった専門誌で批評家の先生方が紹介される名
盤・珍盤・希少盤や、マニア達のブログでのレヴューを手がかりに、主に日・米・英・仏・伊・独の
AMAZONで購入して、スタンダードとは言えない領域まで鑑賞の範囲も広がった。バントックの管
弦楽曲、スカルコッタス、フェルドマンの室内楽曲、ナンカロウの自動ピアノ曲や、マヌエラ・ヴィー
スラー(fl)、スーザン・シェパード(バロックvc)の演奏などに巡り合えたのは、情報を提供している皆
様のお陰と感謝している。
☟欲は留まる事を知らず、今度はまだ音源化されていないもの、されそうなものが、気になってしょ
うがない。黛敏郎『X.Y.Z』、ポリーニ『シュトックハウゼンのピアノ曲』(DG盤で!)、C.クライバー『英
雄の生涯』(SONY盤で!)、ジョルジュ・バルボトゥ(hrm)とポール・オンニュ(fg)のソロアルバム(ス
テレオ録音で!)、ロベール・マッサール(br)のアリア集、68年ダラスでの『オテロ』ヴィッカース(オ
テロ役)・ロスアンヘレス(デズデモナ役)・ザナージ(イアーゴ役)のCD化を熱望している。
☜私自身の録音予定は?と稀に訊かれるが、数年前に専門業者と契約して相模湖畔のホールま
で予約し、万全の録音体制に販路まで確定していたにもかかわらず、録音直前、関西でのオペラ
稽古中に足を負傷し、どうにも体調が整わずあえなくキャンセルしてしまった。仕切り直しとなって
久しいが、趣味の音源探索と違って、仕事の音源収録はひたすら前進あるのみという訳には行か
ず、これは慎重にならざるを得ない。いつの日か機が熟したら、良い状態の自分の歌声を残してみ
たいと思う。
☞新設ホームページ http://yasuo-horiuchi.webnode.jp/

 

 

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